実務講習

活用する (8)

オープンデータは日本でも世界でも広く利用されており、オープンデータを活用した新しいサービスが数多く開発されています。

オープンデータの利活用事例集としては、内閣官房IT総合戦略室の「オープンデータ100」、一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構の「オープンデータ利活用ビジネス事例集」と「地方公共団体におけるデータ活用事例集」が参考になります。

米国をはじめとするオープンデータの利活用事例については、ニューヨーク大学の「Open Data 500」が参考になります。

 

オープンデータの利活用事例
  • オープンデータ100(内閣官房IT総合戦略室)
  • オープンデータ利活用ビジネス事例集(一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構 、2016/6/22)
  • 地方公共団体におけるデータ活用事例集(一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構、2016/3/30)
  • Open Data 500(ニューヨーク大学 Governance Lab)

 

オープンデータの利活用事例の詳細につきましては、以下を参照してください。

オープンデータは日本の政府、自治体をはじめとする、公的機関から多数公開されています。

日本政府は「DATA.GO.JP」のデータカタログサイトをはじめ、政府統計の総合窓口であるe-Stat、国土数値情報のダウンロードサービス、地域経済分析システムであるリーサス(RESAS)、気象庁、法人インフォなどにより、さまざまなオープンデータを公開しています。

オープンデータに取り組む自治体数も360を超えました。自治体のオープンデータサイトについては、資料集の「自治体オープンデータサイト一覧」にまとめて掲載されています。

 

日本の代表的なオープンデータサイト
  • 政府
    ・日本政府のデータカタログサイト
    ・e-stat 政府統計の総合窓口
    ・国土数値情報 – ダウンロードサービス
    ・RESAS 地域経済分析システム
    ・RESAS API
    ・気象庁 – 数値データページリンク集
    ・法人インフォ
  • 自治体
    ・自治体オープンデータサイト一覧
  • 民間
    ・G空間情報センター
    ・オープンデータモニター

日本の代表的なオープンデータサイトにつきましては、以下を参照してください。

オープンデータについて市民や企業に広く知って方法として、オープンデータの利活用を考えたり、実際に利用してみるイベントが多数開催されています。そうしたイベントの中でも代表的なのが、アイデアソンとハッカソンです。

アイデアソンとは、新しいサービスのアイデアをグループワーク等を通じて生み出す取り組みです。アイデアソンは、オープンデータの新しい活用方法を考える目的で、日本各地で頻繁に開催されています。アイデアソンは、特別な知識やスキルを必要としていないため、誰でも気軽に参加できます。ほとんどのアイデアソンは半日から1日程度で開催されています。

ハッカソンとは、アイデアソンなどで生み出した新しいサービスのアイデアを、実際に動くアプリケーションとして開発する取り組みです。ハッカソンは、オープンデータを活用した新しいサービスを具体化する目的で、日本各地で開催されています。ハッカソンでは実際にアプリを開発するため、エンジニアやデザイナーなどの技術者の参加が必要です。ハッカソンは、2〜3日間で開催される場合が多いです。

アイデアソンおよびハッカソンは自治体が主催するだけでなく、民間の支援団体や企業が開催する場合もあります。

 

アイデアソン
  • 「アイデア(idea)+マラソン(marathon)」の造語
  • オープンデータを活用した新しいサービスのアイデアをグループワークで生み出します
  • 参加にあたり特別な知識やスキルは不要で、誰でも参加できます
  • 半日から1日程度
ハッカソン
  • 「ハック(hack)+マラソン(marathon)」の造語
  • オープンデータを活用したアプリケーションをグループで開発します
  • エンジニアやデザイナーの参加が必要です
  • 2日から3日程度

内閣官房IT総合戦略室は、オープンデータに対する民間企業のニーズを把握するために、「オープンデータ官民ラウンドテーブル」を開催しています。

オープンデータ官民ラウンドテーブルの目的は、民間企業等のデータ活用を希望する者と、データを保有する府省庁等が直接対話する場を設けることによって、民間ニーズに即したオープンデータの取り組みを促進することです。

オープンデータ官民ラウンドテーブルはこれまでに3回開催され、以下のデータを対象に、民間企業からの公開要望やユースケースをヒアリングしました。

出典:オープンデータ官民ラウンドテーブル議事次第(内閣官房IT総合戦略室) をもとに公益財団法人九州先端科学技術研究所が作成

例えば、飲食店関連データについては「ぐるなび」から、訪日外国人関連データに関しては「ウィングアーク1st」から、公共交通関連データに関しては「ジョルダン」と「凸版印刷」からヒアリングを実施しました。

オープンデータ官民ラウンドテーブルの詳細につきましては、以下を参照してください。

 

福岡市では、公益財団法人九州先端科学技術研究所、株式会社シティアスコム、株式会社駅前不動産ホールディングスの3社が、福岡市のオープンデータを活用することにより、不動産物件仲介サービス(Webサイト等)において、小学校区・中学校区(以降、校区と呼びます)に関する情報を提供する「校区情報サービス」を2018年11月から開始しました。

小学生や中学生の子供のいる世帯は、不動産物件を選ぶにあたって、校区について非常に関心が高く、物件を決める重要な条件の1つとなっています。しかし校区情報をデータとして公開していない自治体も多く、これまでは物件の属する校区を調べるための簡単な方法がありませんでした。そのため、不動産物件仲介サイトでは近くにある小学校・中学校を参考情報として表示していました。しかし校区によっては、必ずしも近くの学校に通えるわけではないため、利用者は自治体に問い合わせるなどして、個別に校区を調べる必要がありました。

「校区情報サービス」により、利用者には次のようなメリットがあります。

【利用者のメリット】

  • 物件がどの校区に属しているのかを確認することができます
  • 希望する校区内の物件に絞って探すことができます

さらに、不動産仲介事業者には次のようなメリットがあります。

【事業者のメリット】

  • いつでも最新の校区データを利用できます
  • 物件が属する校区について地図上で調べたり、自治体に確認したりする必要がありません

校区情報サービスによって、小学校区・中学校区のエリアを物件検索マップ上に表示させて、特定の校区に含まれている物件だけを調べることもできます。

https://www.ekimae-r-e.co.jp/search/map/40/0/

 

さらにISITのオープンデータプラットフォームは、さまざまなツールから利用することができます。

例えば、LINEのBOTによって利用者から位置情報を取得して、オープンデータプラットフォームで位置情報から校区を検索し、校区情報をLINEのトーク画面に表示させることができます。

ホームページで公開されているオープンデータについては、ファイルをダウンロードしてから使います。

オープンデータカタログサイトで公開されているデータについては、ファイルをダウンロードして使うことができるだけでなく、特定のファイル形式に対してはAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を通じてカタログサイトから直接データを取得することもできます。

例えば、日本政府をはじめ多くの自治体が利用しているCKAN(シーカン)というデータカタログサイトは、APIを標準で提供しているため、オープンデータをダウンロードすることなく、アプリケーションから取得することが可能です。

 

CKAN API使用例

データセットの一覧を取得する

  • http://demo.ckan.org/api/3/action/package_list

“spending”という文字列を含むデータセットを検索する

  • http://demo.ckan.org/api/3/action/package_search?q=spending

 

CKANのAPIの詳細については以下を参照してください。

クリエイティブ・コモンズの表示4.0(CC-BY 4.0)ライセンスを例にとると、データを利用する場合には、データに関して以下のような情報を収集し・表示や添付をすることが必要になります。

  1. 「このデータセットはCC BY 4.0で提供されています」「このデータセットはクリエイティブ・コモンズ表示4.0で提供されています」など、ライセンスに関する注意書きがあれば、それを「内容を変更せず、見やすい態様でそのまま掲載」すること。
  2. ライセンスの本文またはURLを添付または表示すること。
  3. 免責条項に関する注意書きがある場合は、それを「内容を変更せず、見やすい態様でそのまま掲載」すること。
  4. データセットに関する著作権表示がある場合は、「すべての著作権表示をそのままにして」おくこと。
  5. 著作者などの名前がある場合は表示すること。
  6. データセットのタイトルがある場合は表示すること。
  7. 特にデータに添付するべきURLがあればそのURLを添付すること。*2
  8. データを加工して、二次的著作物に相当するようなものを作成した場合には、その二次的著作物中で、データを利用していることを示すクレジットを合理的な方法で表示すること

上記4.-8. については、合理的であればどのような方式でも行うことができますが、二次的著作物や編集著作物に相当するようなものを作成した場合には、「少なくとも他の同様の著作者のクレジットが表示される箇所で当該クレジットを表示し、少なくとも他の同様の著作者のクレジットと同程度に目立つ方法で」行うことが必要になります。

例えば、日本政府のオープンデータカタログサイト「DATA.GO.JP」のデータを利用する場合のクレジット表記について具体的に説明します。

編集、加工を行わずそのまま複製して利用する場合には、「データセットの公表組織名」、「リソースの名称」を明記した後、当該データがクリエイティブ・コモンズ表示4.0国際ライセンスで公開されていることを記載し、最後にデータカタログサイトの利用規約を明記します。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのURLや、データカタログサイトの利用規約のURLについては、文字で記載する方法の他に、「CCライセンス 表示 4.0 国際」の文字列や「データカタログサイト利用規約」の文字列にハイパーリンクを貼る方法で表記することもできます。


編集、加工等を行わずそのまま複製し、利用する場合

【データセットの公表組織名】、【リソースの名称】、CCライセンス 表示 4.0 国際(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja)、データカタログサイト利用規約(http://www.data.go.jp)


 

データを編集、加工する場合には、最初に「この作品は、以下の著作物を改変して利用しています」と明記し、その後に編集、加工を行わない場合と同様のクレジットを明記します。


編集、加工等を行い、利用する場合

この作品(*)は、以下の著作物を改変して利用しています。
【データセットの公表組織名】、【リソースの名称】、CCライセンス 表示 4.0 国際(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja)、データカタログサイト利用規約(http://www.data.go.jp)


(*) 作成するコンテンツに応じ、適宜、「アプリ」、「データベース」等と修正します。
出典: DATA.GO.JPの「利用規約に関するQ&A」を編集、http://www.data.go.jp/terms-of-use/faq-s-terms-of-use/

原則として、元のデータについているライセンスよりも条件を緩めることは認められません。詳しくは、以下の表で確認下さい。

<表の見方>
まず、左の列から元のデータについているCCライセンスの種類を選びます。その欄を横に見ていって、◯印のある部分に対応する縦の列のCCライセンスの種類が、新しいデータに付けることのできるライセンスになります。

※「改変禁止」の条件のついたデータは、そもそもそのデータを利用して新しいデータを作ることが認められないため、「表示-非営利-改変禁止」と「表示-改変禁止」の欄には、◯印がありません。また、元のデータに「継承」の条件が付いている場合は、新しい作品は、元の作品と同一の条件のライセンスしか付けることができません。

※記号の意味
by = 表示のみ
by-nd = 表示-改変禁止
by-nc-nd =表示-非営利-改変禁止
by-nc =表示-非営利
by-nc-sa =表示-非営利-継承
by-sa =表示-継承
pd =パブリック・ドメイン

オープンデータは、ライセンスや利用規約に定められている条件を遵守すれば自由に利用することができますが、使い方によっては他の法律に反する可能性があるため注意が必要です。

しかし、データの使い方によっては他の法律に違反することになる場合はあります。例えば気象予報の提供に関しては気象業務法に定めがあるため、気温データを活用して勝手に気象予報を発表すると法律違反になることなどが考えられます。

 

気象業務法違反となる例

気象予報の提供に関しては気象業務法に定めがあるため、気温データを活用して勝手に気象予報を発表すると法律違反になります