公開する (18)
特定のアプリケーションでのみ使用可能なファイル形式や、仕様が非公開のファイル形式では、利用者がデータを使用できないことが想定されます。
オープンデータとして公開する場合は、ISO(国際標準化機構)、JIS(日本工業規格)など国際的な機関もしくは国内で制定されたファイル形式で公開するのが望ましいです。
出典:オープンデータをはじめよう ~ 地方公共団体のための最初の手引書 ~(内閣官房IT総合戦略室、平成29年12月22日改定)(内閣官房IT総合戦略室、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際)をもとに公益財団法人九州先端科学技術研究所が編集
例えば、CSVとは、フィールドを区切り文字であるカンマ「, 」で区切ったテキストファイルのことです。CSVファイルで公開する場合には、RFC 4180の規格に準じた形式で公開するようにしてください。
GMLとは、地理情報システムやインターネット上で地理情報を交換するフォーマットとして使用されているもので、ISO 19136として規格が定義されています。
さらに、情報の種類に応じて適したファイル形式を選択することも重要です。
出典:オープンデータをはじめよう ~ 地方公共団体のための最初の手引書 ~(内閣官房IT総合戦略室、平成29年12月22日改定)(内閣官房IT総合戦略室、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際)
例えば、予算・決算や統計などの場合には表形式のCSVやXLSXを、報告書などは文書形式のPDFやDOCXを選択するのが妥当です。
地理空間情報を含むデータの場合にはシェープファイル(Shape File、.shp)やジオジェイソン(GeoJSON)などの形式が適しています。
シェープファイルとは、地理情報システム間でのデータの相互運用におけるオープン標準として用いられるファイル形式です。ジオジェイソンとは、空間データをエンコードして、非空間属性を関連付けることができるファイルフォーマットです。
さらに、Webの父であるティム・バーナーズ=リーは、オープンデータの形式を5つのレベルに分けています。
★は、オープンライセンスでデータが公開されていることを表しています。ファイル形式などは問いません。
★★は、データが構造化されていることを表しています。エクセルなどが典型的な例になります。
★★★は、特定のソフトに縛られることなくだれでも利用できる形式であることを表しています。例えば、エクセルのデータをCSVに変換して公開すると、星3つのレベルになります。
★★★★は、データを一意に識別できるように識別子としてURI(Unified Resource Indicator)を使用していることを表します。データを表現する方法としては、RDF(Resource Description Framework)が用いられます。
★★★★★は、データとデータを結合したリンクト・オープンデータになっていることを表しています。データ同士が相互にリンクされることで、データのウェブができあがります。
自治体がオープンデータを公開する際の1つの目安としては、★★★の3つ星レベルを目標にするのが良いと思われます。
地方公共団体へのオープンデータの取組に関するアンケート結果・回答一覧(内閣官房IT総合戦略室、平成31年3月26日公開)によれば、7割以上の自治体が3つ星レベルでデータを公開しています。
出典:地方公共団体へのオープンデータの取組に関するアンケート結果・回答一覧(内閣官房IT総合戦略室、平成31年3月26日公開)(内閣官房IT総合戦略室、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際)をもとに公益財団法人九州先端科学技術研究所が作成
データのカテゴリーは利用者がデータを探す際に最初の手がかりとなる重要なものです。国や他の自治体が採用しているカテゴリーと同じカテゴリーを使用することにより、オープンデータはより発見しやすくなります。
例えば、政府のオープンデータポータル「Data.go.jp」では、政府統計の総合窓口「e-Stat」における17分野をそのままカテゴリーとして使用しています。
- 国土・気象
- 人口・世帯
- 労働・賃金
- 農林水産業
- 鉱工業
- 商業・サービス業
- 企業・家計・経済
- 住宅・土地・建設
- エネルギー・水
- 運輸・観光
- 情報通信・科学技術
- 教育・文化・スポーツ・生活
- 行財政
- 司法・安全・環境
- 社会保障・衛生
- 国際
- その他
自治体ごとに独自のカテゴリーを決めて使用することもできます。その場合でも、政府や他の自治体と同じカテゴリーを使える部分があればそのまま使い、自治体独自のカテゴリーを追加して使用することを推奨します。
実際に使用されているカテゴリーにつきましては、以下を日本のオープンデータサイトを参照してください。
- 日本のオープンデータサイト(資料集)
利用者がデータを探しやすくするための方法としてメタデータを活用する方法があります。メタデータとは、オープンデータがどのようなデータであるのかを表すデータです。
メタデータは、情報利用者が必要なデータをデータカタログから検索する際のキーとなります。例えば以下のようなデータがメタデータとして使用されています。
- データの名称(タイトル)
- データの説明
- データ形式(ファイル形式)
- データが属するカテゴリ(国土・気象、人口・世帯、子育てなど)
- データに付与するタグ(統計、健康、レジャーなど)
- データを作成した組織
- データ作成者
- データ作成者の連絡先
- データ作成日
- データに付与されているライセンス
メタデータを付けることによって、利用者はオープンデータを探しやすくなります。

福岡市のメタデータの例
政府や自治体が使用しているオープンデータの主な公開手段は次の通りです。
- ホームページをそのままオープンデータとして公開
- 名古屋市など
- ホームページにオープンデータのファイル一覧を掲載
- 鹿児島市など
- オープンデータカタログサイトで公開
- 日本政府、福岡市、久留米市、福岡県など
ホームページでオープンデータを公開する方法(1と2)の場合、システム改修は最低限で済むため、費用をかけずオープンデータを素早く公開することが可能です。
オープンデータを公開するための専用のカタログサイトを開設する方法(3)の場合、新しいシステムの導入が必要となるため時間と費用を要しますが、データの検索や取得を支援する機能が揃っているため、公開後に利活用が促進されることが期待できます。
地方公共団体へのオープンデータの取組に関するアンケート結果・回答一覧(内閣官房IT総合戦略室、平成31年3月26日公開)によれば、約5割がホームページで、約4割がデータカタログサイトで公開しています。
出典:地方公共団体へのオープンデータの取組に関するアンケート結果・回答一覧(内閣官房IT総合戦略室、平成31年3月26日公開)(内閣官房IT総合戦略室、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際)をもとに公益財団法人九州先端科学技術研究所が作成
データカタログサイトとダッシュボードを組み合わせた「地方公共団体向けオープンデータパッケージ」がオープンソースとして公開されていますので、こちらを使用することもできます。詳しくは以下を参照してください。
- ツール(資料集)
ホームページをそのままオープンデータとして公開(名古屋市の例)
名古屋市はホームページをそのままオープンデータとして公開しています。ホームページにデータの利用ルールを追記するだけですみますので、簡単にオープンデータを公開することができます。

ホームページをそのままオープンデータとして公開(名古屋市の例)
ホームページにオープンデータのファイル一覧を掲載(鹿児島市の例)
鹿児島市はホームページにオープンデータのファイル一覧を掲載しています。ホームページを作成しているCMSを使ってオープデータを公開することができるため、新しいシステムを導入する必要がありません。

ホームページにオープンデータのファイル一覧を掲載(鹿児島市の例)
オープンデータカタログサイトで公開(福岡市の例)
福岡市はオープンデータカタログサイトでオープンデータを公開しています。カタログサイトでは、データの検索や取得を支援するさまざまな機能を利用することが可能です。

オープンデータカタログサイトで公開(福岡市の例)
カタログサイトはオープンデータ公開のための専用のシステムであるため、導入には費用と時間がかかりますが、データの分類、発見、利用、広域活用などを支援するための機能が提供されているため、データ利活用の促進が期待できます。カタログサイトを利用した場合の利点はいくつかあります。カタログサイトでは、組織、グループ、タグなどを使用してデータを簡単に分類することができます。タグとは、データを分類するために付与する情報です。
カタログサイトでは、組織、グループ、タグによるフィルタリングや、メタデータおよびコンテンツのキーワード検索が可能で、表、グラフ、地図などでビジュアライズして内容を確認することもできるため、データを容易に発見することができます。
また、カタログサイトにデータを登録することでAPIが自動生成されるため、プログラムからデータの検索、追加、更新が可能になります。API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)とは、プログラムから機能を呼び出すための仕組みです。独立した複数のカタログサイトを簡単に1つに統合できるため、広域でのデータ公開にも適しています。
カタログサイトを利用した場合の利点
- データを簡単に分類できます
- 組織、グループ、タグ(*1)で分類
- データを容易に発見できます
- 組織、グループ、タグによるフィルタリング、メタデータおよびコンテンツのキーワド検索
- 表、グラフ、地図などでビジュアライズして内容を確認
- データをプログラムから利用できます
- プログラムからAPI(*2)によってデータの検索、追加、更新が可能
- データを広域で活用できます
- 独立した複数のサイトのデータを1箇所に統合
(*1)タグとはデータを分類するために付与する情報です
(*2)API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)とは、プログラムから機能を呼び出すための仕組みです。
カタログサイトとダッシュボードを組み合わせた「地方公共団体向けオープンデータパッケージ」がオープンソースとして公開されていますので、こちらを使用することもできます。詳しくは以下を参照してください。
- ツール(資料集)
オープンデータを公開する際にライセンスを明記必要があるのは、多くの人が著作権を侵害することなく手軽にデータを利用できるようにし、オープンデータを成功させるためです。
オープンデータは様々な人がデータを使えるようにする取り組み、政策です。一方著作権法により、データが著作物である場合には、権利者の許諾なしに無断でデータを複製するなどの利用行為は原則として違法な行為(著作権侵害)になってしまいます。
そこで、多くの人が手軽にデータを使えるようにするためのツールとして、オープンデータの取り組みに際しては、ライセンスが用いられます。
日本だけでなく世界中で利用されている代表的なライセンスが、クリエイティブ・コモンズ表示ライセンスです。
ライセンスの役割
- データが著作物である場合、権利者の許諾のない無断利用は著作権侵害となります
- ライセンスは、著作権を侵害することなくデータを利用できるようにするためのツールです
- 多くの人が手軽にデータを使えるようにしてオープンデータを成功させるために必要です
ライセンスの例
地方公共団体へのオープンデータの取組に関するアンケート結果・回答一覧(内閣官房IT総合戦室、平成31年3月26日公開)によれば、政府標準利用規約2.0またはクリエイティブ・コモンズ表示4.0国際(CC BY 4.0 国際)を使用している自治体が最も多く、約45パーセントを占めています。政府標準利用規約2.0とは日本政府が定めた利用規約で、CC BY 4.0 国際と互換性があります。次に多いのは、クリエイティブ・コモンズ表示2.1日本(CC BY 2.1 JP)で約34パーセントとなっています。CC BY 4.0 国際はCC BY 2.1 JPを改訂したライセンスです。独自の利用規約を定めて利用している自治体は少数に留まっています。
出典:地方公共団体へのオープンデータの取組に関するアンケート結果・回答一覧(内閣官房IT総合戦略室、平成31年3月26日公開)(内閣官房IT総合戦略室、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際)をもとに公益財団法人九州先端科学技術研究所が作成
ライセンスの詳細につきましては、以下を参照してください。
- ライセンス(自治体オープンデータ推進リーダー向け資料集)
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)とは、法律や技術に関する専門的な知識がなくても、自分の希望する条件を組み合わせることで、自分の作品をインターネットを通じて世界に発信することができる画期的なライセンスシステムです。
地方公共団体へのオープンデータの取組に関するアンケート結果・回答一覧(内閣官房IT総合戦室、平成31年3月26日公開)によれば、8割以上の自治体がクリエイティブ・コモンズ・ライセンス、またはクリエイティブ・コモンズ表示4.0国際ライセンスと互換性のある政府標準利用規約2.0を使用しています。
出典:地方公共団体へのオープンデータの取組に関するアンケート結果・回答一覧(内閣官房IT総合戦略室、平成31年3月26日公開)(内閣官房IT総合戦略室、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際)をもとに公益財団法人九州先端科学技術研究所が作成
CCライセンスでは、多くのクリエイターが希望すると思われる典型的な条件を4つ準備し、それぞれ、アイコンでわかりやすく表示しています。この4つの典型的な条件とは、「表示」「非営利」「改変禁止」「継承」です。クリエイターは、この4つのアイコンを組み合わせて、自分の作品の利用条件を発信することができます。
- 表示(BY):作品のクレジットを表示すること
- 非営利(NC):営利目的での利用をしないこと
- 改変禁止(ND):元の作品を改変しないこと
- 継承(SA):元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開すること
出典:クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン)
CCライセンスは、これら4つの条件を組み合わせたてできており、全部で6種類あります。
-
表示:CC-BY
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示することを主な条件とし、改変はもちろん、営利目的での二次利用も許可される最も自由度の高いCCライセンス
-
表示—継承:CC-BY-SA
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、改変した場合には元の作品と同じCCライセンス(このライセンス)で公開することを主な条件に、営利目的での二次利用も許可されるCCライセンス
-
表示—改変禁止:CC-BY-ND
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ元の作品を改変しないことを主な条件に、営利目的での利用(転載、コピー、共有)が行えるCCライセンス
-
表示—非営利:CC-BY-NC
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的であることを主な条件に、改変したり再配布したりすることができるCCライセンス
-
表示—非営利—継承:CC-BY-NC-SA
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的に限り、また改変を行った際には元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開することを主な条件に、改変したり再配布したりすることができるCCライセンス
-
表示—非営利—改変禁止:CC-BY-NC-ND
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的であり、そして元の作品を改変しないことを主な条件に、作品を自由に再配布できるCCライセンス
出典:クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン)
さらに詳細な説明につきましてはこちらを参照してください。
「クリエイティブ・コモンズ」とは、作品の利用と流通を図ろうとする活動の名前です。また、その活動を行っている団体の名前でもあります。日本では、コモンスフィアというNPO法人が中心となって活動を行っています。本部は米国にあり、それ以外にも世界の50を超える国や地域のプロジェクトチームが連携して活動しています。
コモンスフィアによる「クリエイティブ・コモンズ・ジャパン」の活動につきましては、以下を参照してください。さらに詳細な説明につきましてはこちらを参照してください。
クリエイティブ・コモンズ・ジャパンについて
クリエイティブ・コモンズ・ジャパンは主に日本においてCCライセンスの普及・実践を行うために活動する組織の名称です。2003 年から国際大学GLOCOMをホストとしてCreative Commons Public Licenseの日本語訳を行い、2004 年3月に、世界で米国についで2番目に、日本法準拠のCCライセンスをリリースしました。2006年3月には組織として独立するために事務局準備会を発足し、2007年7月25日に東京都の認可をうけ 特定非営利活動法人(NPO法人)となりました。 私たちは今後も、CCライセンスが日本において、教育機関や企業、そして個々の情報発信者達による柔軟な著作権表現が普及していくための様々な活動を行っていきます。
CCライセンスは、日本の著作権法その他の法律に基づいていますので、原則としては法律的な拘束力があります。
しかし、著作権法の解釈の中には、法律や判例を参照しても明らかになっていない部分があり、その部分をクリエイティブ・コモンズやクリエイティブ・コモンズ・ジャパンが決めることはできません。利用許諾条項をよく読んでお使いください。
バージョン4.0は2.1に対して、下記のような改訂が適用されました。
- 全体に読み易く、曖昧さや履行が困難な条項が整理されました。
- ライセンス対象が「作品(Work)」から「マテリアル(Material)」に変更されました。これは、ライセンス対象をデータベースなど、より広い範囲に適応できるよう広げるためです。
- 許諾を受けた人がライセンスに違反した場合でも、違反に気が付いてから30日以内に違反状態を是正すれば、自動的に許諾を再度得られるようになりました。
- バージョン2.1ライセンスの日本語で提供しているもの(CC-BY 2.1JPなど)は、日本法に準拠したライセンスとして、他の国の法律に準拠したライセンスとは厳密には別個のものとしていました。これに対して、バージョン4.0(CC-BY 4.0など)は、日本法にも他の国の法律にも「international(国際)」という単一のライセンスで対応する内容に変更しました(つまり、各国ごとのバージョンがありません)。各言語で提供されるライセンスは、公式翻訳という位置づけになります。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスならびに政府標準利用規約においては、基本的に最新のライセンスの利用をお勧めしています。これはライセンスの改訂に伴ってライセンスの法的効力や機能などが改善されることが多いためです。
CCライセンスは取消ができません。つまり、CCライセンスのついたデータを入手した誰かに対して、そのライセンスで認められている利用を止めることはできません。
CCライセンスをつけたデータの公表を止めることはいつでもできますが、既に出回ってしまったデータのコピーは、それが単なるコピーでも、編集著作物や二次的著作物に含まれるものであっても、それを回収するということはできません。
したがって、CCライセンスを選ぶときは、たとえ後になってデータの公表を中止することになったときでも、他の人がライセンスに従ってデータを利用することにあなた自身が不満を覚えないようなものを選ぶように注意しなくてはいけません。
そのライセンスでデータを提供している旨の記述が最低限必要になります。他にも掲載しておいた方がよい情報や、場合によって掲載が必要な情報などがあります。
クリエイティブ・コモンズ表示4.0(CC-BY 4.0)ライセンスの場合には以下のような表示をすることになります。
- 「このデータセットはCC BY 4.0で提供されています」「このデータセットはクリエイティブ・コモンズ表示4.0で提供されています」など、ライセンスに関する注意書き
- ライセンスのURL
- 免責条項に関する注意書きの有無と、ある場合はその記載箇所
- データセットに関する著作権表示の有無と、ある場合はその記載されている箇所
- 著作者などの名前(ない場合はその旨の告知)*1
- データセットのタイトル(ない場合はその旨の告知)
- 特にデータに添付するべきURLがあればそのURL(ない場合はその旨の告知)*2
- 政府以外の者の作成した著作物など、第三者の権利物が含まれている場合はその箇所と権利
*1 実演家が存在する場合は実演家の名前も。
*2 そのURLに当該データセットの著作権表示かライセンス情報が提供されている場合に限ります。
第三者の同意も得てライセンスすることをお勧めしています。これは、利用者がその第三者の同意なしにそのデータに含まれている第三者の著作物を利用してしまい、権利侵害を起こしてしまうことを防ぐためです。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを政府なら政府が自らの著作物に適用した場合、そこで許諾の対象になる権利は、通常、政府の権利のみです。他の者の権利については許諾の対象にならないため、データを利用する人は、利用の仕方によっては別途許諾を得る必要があるかも知れません。
なお、許諾を得なくても問題のない場合もあります。例えば、政府の報告書の中に第三者の文章の引用が含まれているものを、引用箇所も、その前後の報告書の文章もあわせて転載する場合を考えてみると、利用者は第三者の文章について執筆者から許諾をもらわなくても、著作権法上認められた引用として著作権侵害が起こらないことも十分考えられます。
オープンデータを適切なライセンスの下で公開している限り、オープンデータの誤りによって利用者に何らかの損害が発生したとしても、データ公開者である自治体の職員が責任を負う必要は通常ありません。
「クリエイティブ・コモンズ 表示4.0 国際」では「第5条 無保証および責任制限」において、データの内容を保証しないこと、データに起因する損害に対して可能な限り免責されることが記載されています。
クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際
第5条 無保証および責任制限
許諾者が別途合意しない限り、許諾者は可能な範囲において、ライセンス対象物を現状有姿のまま、現在可能な限りで提供し、明示、黙示、法令上、その他に関わらずライセンス対象物について一切の表明または保証をしません。これには、権利の帰属、商品性、特定の利用目的への適合性、権利侵害の不存在、隠れた瑕疵その他の瑕疵の不存在、正確性または誤りの存在もしくは不存在を含みますが、これに限られず、既知であるか否か、発見可能であるか否かを問いません。全部または一部の無保証が認められない場合、この無保証はあなたには適用されないこともあります。
可能な範囲において、本パブリック・ライセンスもしくはライセンス対象物の利用によって起きうる直接、特別、間接、偶発、結果的、懲罰的その他の損失、コスト、出費または損害について、例え損失、コスト、出費、損害の可能性について許諾者が知らされていたとしても、許諾者は、あなたに対し、いかなる法理(過失を含みますがこれに限られません)その他に基づいても責任を負いません。全部または一部の責任制限が認められない場合、この制限はあなたには適用されないこともあります。
「政府標準利用規約(第2.0版)」では「6) 免責について」において、データ利用に起因する損害に対して免責することが明記されています。
政府標準利用規約(第2.0版)
6) 免責について
ア 国は、利用者がコンテンツを用いて行う一切の行為(コンテンツを編集・加工等した情報を利用することを含む。)について何ら責任を負うものではありません。
イ コンテンツは、予告なく変更、移転、削除等が行われることがあります。
自治体がオープンデータとしてデータを公開するに当たっては、適切なライセンスを使用することによって、データの正確性等は保証しないこと、データを用いて行う一切の行為に公表者は責任を負わないことを表明するようにしてください。
例えば日本政府のデータカタログサイトDATA.GO.JPでは、利用規約の第6条に明記していますので参考にしてください。ただし、クリエイティブ・コモンズ表示ライセンスの無保証および責任制限条項等と矛盾する内容にならないように注意してください。
データカタログサイト DATA.GO.JP の利用規約
第6条 (無保証)
公表者は、本サイトで公開しているコンテンツの正確性、網羅性、特定の目的への適合性等について、 一切保証しません。公表者は、本サイトで公開しているコンテンツを用いて行う一切の行為(それら を編集・加工等した情報を利用することを含む。)について、何ら責任を負うものではありません。 公表者が、コンテンツにおいて、第三者に権利があることを表示・示唆している場合であっても、その表示・示唆は網羅的なものではありません。
公開したオープンデータに誤りが見つかった場合には、できるだけ早く誤りのあるデータを非公開にするなどして、利用できないようにしてください。さらに、該当するデータのダウンロード数やデータの内容などから、重要な誤りであると判断できる場合には、自治体のホームページのお知らせ等にデータの誤りがあった旨を掲載することも検討してください。
その後で、データの誤りを修正し、正しいデータをオープンデータカタログサイトなどに登録し直してください。重要な誤りであった場合には、正しいデータを公開したこともホームページなどで通知してください。
オープンデータに対してクリエイティブ・コモンズ・ライセンスや政府標準利用規約などの適切なライセンスが付与されている場合には、オープンデータの誤りに起因する損害は免責され、データを作成したり公開したりした自治体職員が責任を負うことは通常ありません。しかし、データの利用者からの信頼を失わないためにも、できるだけ迅速に対応することが望まれます。
データに誤りが見つかった場合の作業手順
- 誤りが見つかったデータを非公開にします
- 重大な誤りである場合にはホームページなどに掲載します
・データの内容やダウンロード数などから重要性を判断 - データを修正し、正しいデータを登録し直します
- 正しいデータを公開したことをホームページで通知します
オープンデータに対して、著作者の名誉を害するような望ましくない改変が行われた場合、いくつかの対処法があります。ライセンス違反として対処できる場合があるほか、クレジット表示の削除を求めることも可能です。
クリエイティブ・コモンズ・表示2.1日本ライセンスや、クリエイティブ・コモンズ・表示4.0国際ライセンスを採用している場合には、著作者の名誉・声望を害するような改変をした場合、それがライセンス違反になることがあります。これは著作者の名誉・声望を害するような二次的著作物を創作したり、複製することが、許諾の範囲に含まれていないためです。
また、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの多くのバージョンにある規定により、許諾者は、利用者に対して、許諾者や著作者への言及を除去するように通知することができます。利用者は通知があれば、実行可能な範囲ですべての言及を除去する義務を負います。
ほかに、ライセンス上の文言には直接関係がありませんが、改変される前の状態のデータをオンラインで発見・比較・参照しやすくしておくことで、改変されたデータを受け取った人が改ざんがないかどうかを確かめやすくしておくというのもひとつの工夫でしょう。
データに対して望ましくない改変がされた場合の対処方法
- ライセンス違反として対処します
・CCライセンスの場合に有効
・著作者の名誉・声望を害するような二次的著作物を創作したことが理由 - 許諾者や著作者への言及を除去するように通知します
・CCライセンスの場合に有効
・クレジット表示の削除を求めます
・通知を受けた利用者は実行可能な範囲ですべての言及を除去する義務を負います